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矢作俊彦+司城志朗 犬なら普通のこと

25年ぶりの新作となる矢作俊彦と司城志朗の合作は
故リチャード・スターク〈悪党パーカー〉にオマージュを捧げる、研ぎ澄まされた冷酷非情の物語。
行き詰まったヤクザ者たちが2億円を賭けて沖縄を這い回る!!

【内容】

暑熱の沖縄。ドブを這い回る犬のような人生。もう沢山だ――ヤクザのヨシミは、組で現金約2億円の大取引があると知り、強奪計画を練る。金を奪ってこの島を出るのだ。だが襲撃の夜、ヨシミの放った弾は思いがけない人物の胸を貫く。それは、そこにいるはずのない組長だった。犯人探しに組は騒然とし、警察や米軍までが入り乱れる。次々と起こる不測の事態をヨシミは乗り切れるのか。血と暴力の犯罪寓話。

【著】矢作俊彦(やはぎ・としひこ)

1950年横浜生まれ。72年ミステリマガジン掲載の短篇「抱きしめたい」でデビュー。以後、『マイク・ハマーへ伝言』などで注目を集め、さらに、テレビ、ラジオ、映画、漫画など多方面で活躍。83年、司城志朗との共著『暗闇にノーサイド』で角川小説賞を受賞。98年『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2004年『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ』で日本冒険小説協会大賞に輝く。

【著】司城志朗(つかさき・しろう)

1950年愛知県生まれ。名古屋大学文学部卒業。放送作家などを経て小説家になる。83年、矢作俊彦との共著『暗闇にノーサイド』で角川小説賞を受賞。94年『ひとつぶの砂で砂漠を語れ』で開高健賞奨励賞、98年『ゲノム・ハザード』でサントリーミステリー大賞読者賞に輝く。近年は『相棒 ― 劇場版―』『MW ムウ』など話題映画のノベライズも手掛けている。

ハヤカワ・ミステリワールト『犬なら普通のこと』
著 矢作俊彦+司城志朗 2009年10月30日発売
定価 1575円(税込) 四六判上製 早川書房

編集者・小塚麻衣子さんより

ミステリマガジンの連載を全面改稿しました。
ラストも変わり、さらに深化した、「汗すらも甘美な悪漢小説」です。

編集者の喜びというのは、やはりいい本を編集することだと思うのですが、その意味では、この本ほど喜びを感じた作品はありません。著者の一人である矢作俊彦さんは、身を削るように作品を作られ、いわく「汗すらも甘美な悪漢小説」を目指して、「おもしろいものに仕上がった」とおっしゃっています。本作は、研ぎ澄まされた文体と非情の論理で仰天の犯罪計画を描いた故リチャード・スタークの〈悪党パーカー〉シリーズにオマージュを捧げています。舞台を現代の沖縄に移し、その社会背景を巧みに盛り込みながら、読みだしたら止まらないストーリーテリングの妙、いきいきとした魅力的な登場人物たち、そして、映画のラストシーンを見るような美しい結末と、本当にここ数年来でもトップランクの力のある作品です。

磨き上げられ、練り上げられた文章と構成、
貪欲な熱気と非情の冷気がぶつかりあって爆発を起こしたような
とてつもなく力強い物語です。
読んでいただけばわかります。本当に圧倒的です。


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