両親の離婚、母親の虐待、再婚。子どもは自分の家のほかにいるべき場所を持たず、親の意向に逆らう術を持つことができない。親の言動に理不尽なものを感じても、目立たぬように振る舞い、自分の気持ちを押し殺し、自分に非がなくても謝罪の言葉を口にするしかない子どもたちが存在する現実の中で、子どもにとって親の存在がいかに重要で切実であるか語り、これを真摯に訴えるメッセージ。
衝動的に殺傷する家族間の痛ましい事件が絶えない。
そんな中で、今日的な問題を繊細な物語の形をとって表現してあり感動の中に自分自身の生き方、人との結びつきも見つめ直したくなる、意味深く優しさの伝わる本でした。