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制約されざる人間【読者投稿ブックレビュー】

重たいが、繰り返し読み返す価値がある。

著 ヴィクトル・エミール・フランクル 訳 山田邦男
春秋社

takaoさんのおすすめブックレビュー
2010年01月27日掲載

「夜と霧」、「それでも人生にイエスという」は読みやすい。しかし、中身にはご自身の理論、――実存分析、ロゴセラピー――の考え方が散りばめられていて、この2冊だけではその正体が曖昧なため、より詳しくその考え方、人間観が知りたくなり、引き込まれるように他の著作を読んでいる。
「制約されざる人間」は、「苦悩する人間」とならんで、氏の学説の根拠となる人間観を医学生に対し「メタ臨床講義」として行ったものである。
人間の構造を身体、心、精神の三層からなるものとして把握し、人間の本質は、心理学、生物学、生理学によって捉えられるような衝動や社会的制約の従属変数ではなく、心身を基盤としつつも心身から独立し、心身に抵抗し得る「精神的存在」である(「制約されざる人間」)とした。環境、遺伝、その他もろもろの心身的制約条件のなかで、人生に意味を見出し、制約条件に距離を取って生きる態度のなかに「自己実現」がある、ロゴセラピストの役割は、クライアントの意味発見をサポートすることである、とした。
論証の範囲も深さも浅学非才の頭では追い切れないが、ノートを取りながら何度でも読み直し、また自分をセラピスト兼クライアントとすることで、新しい発見がある本。

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