著者が実際に経験したことを基にした小説です。
若き新人作家、川満ダグラス哀行のデビュー作。
登場するのは、5人の仲間たち。
いつも一緒に笑い、ともに過ごすかけがえのない時間。
幸せな日々がいつまでも続くと思っていたのに、その悲劇は突然やってきました。
仲間の一人の死、残された4人それぞれの思い……。
その亡くなった少年の部屋から、彼の日記帳が見つかります。
そこには、だれも知らなかった悲しい事実が日々、少年自身の手によって綴られていました。
わずか15歳で、彼の貴い命の花は散ってしまったのです。
原因は……麻薬でした。
著者は、亡くなった「心友(しんゆう)」の想いを伝えるため、そして、麻薬の恐ろしさをもっと多くの人に知ってもらうために、この小説を書きました。
本書には、麻薬の恐ろしさについて、麻薬で苦しんだ少年自身の気持ちがリアルに描かれています。
著者とそのご家族は現在、麻薬撲滅のための活動に携わっています。
大人の目の届かない所にも、麻薬の魔の手は確実に伸びています。
そして、中高生や大学生だけでなく、もっと年の若い子供たちもその標的になっています。
これは、海外のどこか遠い国の話ではなく、わたしたちの暮らす日本の中の話です。
また、治安の悪い地域だけのことを言っているのではありません。
麻薬は、使用している本人だけでなく、その周りにいる家族や友人、多くの人を傷つけることになります。
麻薬を始めるきっかけの多くは、ほんの小さな事柄だといいます。
中には本人の意思とは関係なく「それに薬物が入っていることすら知らないうちに……」ということもあるそうです。
恥ずかしながら、この小説に出会うまで、わたしにとって薬物問題はまだ「日本の遠い所で起きている話」でした。
でも今は違います。
この出来事を世に伝えていこうと決めた著者と、亡くなった少年のご家族の勇気を尊敬します。
そして、少年のご冥福を心からお祈りいたします。