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『クォンタム・ファミリーズ』東浩紀

ハードボイルドは正義ではない。ぼくたちは世界の終わりに生きる。

【内容】

2035年から届いたメールがすべての始まりだった。モニタの彼方には、まったく異なる世界の、まったく異なるわたしの人生があるのだ──。高度情報化社会、アリゾナの砂漠、量子脳計算機科学、35歳問題、幼い娘、ショッピングモール、そして世界の終わり。壊れた家族の絆を取り戻すため、並行世界を遡る量子家族の物語。

『クォンタム・ファミリーズ』公式twitterはじまっています。
http://twitter.com/QuantumFamilies

著者のつぶやきから──「内容は村上春樹+CLANNAD+「存在論的、郵便的」のマッドSFと言ったところでしょうか。普通にエンタメとして読めるようになっている(前衛的実験はしていない)のですが、そしてけっこうまじめに家族愛がテーマなのですが、読む人が読めば元ネタがそうなっていることはわかります。」12:25PM Nov 17th

 

上記、著者のtwitterのつぶやきに、『クォンタム・ファミリーズ』に盛り込まれた内容が端的に示されていますが、「普通にエンタメとして読める」というのは、たぶんちょっと控えめなつぶやきとして受け取っていいようです。実際はヴァイオレンスやセックス・シーンもたっぷり盛り込まれ、量子家族の物語とはいえ、血が沸き立つような、ときに凍るような肉体性も備えた「面白い物語」なのですから。
複数の並行世界をアクロバティックに往還する物語であり、その精緻な設計はまさに驚異的。日に日にネットワークの網の目が自律的に増殖しつつあるような現在の高度情報化社会の延長線上、東浩紀がイマジネーションを全開に膨らませ、テクノロジー情報をふんだんに投入し、ゼロ年代を代表する傑作SFが誕生しました。(BJ塚本)

【著】東 浩紀

1971年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビューし、98年に出版した『存在論的、郵便的』でサントリー学芸賞受賞。2006年10月より、東京工業大学世界文明センター特任教授。著書に『動物化するポストモダン』『ゲーム的リアリズムの誕生』『キャラクターズ』(桜坂洋と共著)など多数。本作は単著での小説第一作となる。

『クォンタム・ファミリーズ』
著 東 浩紀 2009年12月21日発売
定価 2100円(税込) 四六判変型 376頁 新潮社


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『クォンタム・ファミリーズ』については、書評をおさめていますので、ぜひお楽しみください。
レビュワー/酒井貞道 書評を読む


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