B.J.インタビュー vol.1 by Sugie McKoy 2008/10/9(株)メディアファクトリー ダ・ヴィンチ編集部にて
――(以下、杉江松恋)本日はダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞した『地図男』を中心にお話をうかがいたいと思います。このインタビューがアップされるころには刊行されている、日本ホラー小説大賞の『庵堂三兄弟の聖職』(角川書店)、これも傑作です。
真藤 ありがとうございます。
――さらにこの後、ポプラ社小説大賞特別賞を受賞した『RANK』が続くわけですよね。受賞の順序は『地図男』『庵堂』『RANK』の順序ですが、執筆の順序は『RANK』『庵堂』『地図男』だとうかがっています。
真藤 はい、その順番ですね……。
編集 今日(10月8日)公式発表になるので話してしまっていいと思うんですけど、実はもう1作、電撃小説大賞の銀賞を受賞しました。
――えーっ、すごい。3冠どころじゃない、4冠だ。これはどういう作品なんですか。
真藤 電撃ですからライトノベルで、群像劇です。女の子の金貸しが出てくる話で、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』というのが仮の題名です。一応、僕なりの萌え要素を取り込んだ、ポップ・ノワールという感じです。
――なんでもチャレンジしますね、真藤さん(笑)、すごいですね。では最初に、これまでの執筆歴を教えてください。最初に完成した長篇が『RANK』だとして、それ以前に短篇はお書きになられていないんですか?
真藤 最初に書きあげたのはファンタジー・コメディのようなかんじのものでした。それは特にどこの賞にも応募していませんが『RANK』の前に長短篇ふくめ10本ほど、いろいろな賞に応募しては敗れています。中篇の長さのものも3、4本はあったかな。
――それはどういう賞が対象だったんですか?
真藤 あっちこっち見境なく。暫定的にターゲットのようなものを決めてはあるんだけど、ずるずると〆切がきてしまったら、そのとき応募できるものに送るという感じで、傾向と対策みたいなこともあまり意識はしていませんでした。今回受賞した作品中3作は、ここに応募するというのを決めて出したものです。僕は去年で30歳になりまして、誓いを立てたんですね。毎月1本、どこかの賞に応募して結果を出す。それで一年やってみて、どうにもならないようなら諦めるという。
――それで毎月。
真藤 はい。日本ホラー小説大賞が最初で、1月がダ・ヴィンチ文学賞、2月がポプラ社小説大賞、もう1社間にあって、4月が電撃大賞です。そこで編集の方に止められました。最初のふたつをもう受賞していたので、「はい、もう出さなくていい」って。
――当たり前ですね(笑)。それはどういう基準で選ばれた賞なのですか?
真藤 好きな作家の出身賞というのがまずあります。あとは自分の愛読書というか、好きな雑誌や文芸誌で。僕、「ダ・ヴィンチ」好きなんですよ、おべっかではなく本当に。だからダ・ヴィンチ文学賞は何度も出した。日本ホラー小説大賞は、授賞自体がレアという(「大賞が出るのは一年置き」というジンクスがあるほど、大賞授賞が珍しい賞なのです)、日本ホラー界の太い幹のようなイメージがあるでしょう。挑戦する価値はあるかな、と思いまして。応募をしていく中で宝島社の「このミステリーがすごい!」大賞と日本ホラー小説大賞は、大阪夏の陣と冬の陣みたいな、手ごわい相手というイメージがありましたね。
――『RANK』は一度「このミステリーがすごい!」大賞に応募して落選した作品なんですよね。
真藤 はい。伊園旬さんの『ブレイクスルー・トライアル』が受賞した回です(第5回)。1次通過もできなくて「次回作に期待」というところで採り上げられただけだったんですけど。それが『RANK』で、大幅に改稿してポプラ社小説大賞に応募しました。
――かなり改稿されたんですか?
真藤 はい、大幅に書き足して、内容の破綻や、やりすぎているところを削った感じです。
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