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1箇月で読む「カラマーゾフの兄弟」喜びと苦しみのリアルタイム読書日記

赤い腰巻きが迫るもんだから…… 6月30日(月曜日)

気分も新たに第2巻を読みはじめようとした途端、赤い腰巻きの大仰な惹句が脅しをかけてきた。
〈圧倒的な「大審問官」と「ゾシマの教え」大河小説の思想的中核が明らかになった!〉
圧倒的って、なによ。 もう充分圧倒的だったと思うんだけど、まだ圧倒するつもりでいるのか。でもって、思想的中核ときた。まだ第2巻目で、序盤のつもりでいたのに、ここからいきなり本気を絞りだせよってことなのか。そんな、精、つづかないって……。

ソファに寝ころんだり、お茶いただいたりして、動悸をおさめ気をまぎらわせること約1時間。無意識で行動する夢遊病者のようになれたところで、ようやくページを捲る手が動きだした。第2巻の冒頭の章である第2部 第4編の「錯乱」の読書は、まさに錯乱気味にスタートしたといってよかった。

昼過ぎから夕刻までで、なんとか約100ページ進行。
いったん休息の意味でプールにでかけ、ひと泳ぎしてくる。
帰宅後、深夜に再度読書を進めるつもりでいたものの、しばらく隠遁生活をつづけていた先輩N氏からひさびさの飲みの誘いあり、急遽、予定変更。
本日の読書は、100ページにて終了ということとし、飲みにいく前にとり急ぎの日記執筆と相成る。

そんなわけで、ごくごく私的な読書感想文を少し。
長兄ドミートリーの婚約者で、次兄イワンが思いを寄せるカテリーナは、美しく教養もある女性らしいが、あまりに気高すぎ、ヒステリックでもあるため、個人的には好きになれない。カラマーゾフ兄弟の父フョードルと長兄ドミートリーが奪いあっている、淫売のそしりを受ける下品なグルーシェニカのほうが、なにかと魅力的。なにせ、足が美しいらしい。体の線もいいらしい。厚ぼったい下唇が劣情をそそるらしい。

頭の痛いタスポ記念日 7月1日(月曜日)

調子に乗って昨夜は深酒。なので、本日はひどい二日酔い。
やってみるといい、二日酔いに『カラマーゾフ』はしんどい。わずか5分ぐらいで、額あたりにじっとりとイヤな脂が浮いてくるから。
とはいえ、無理矢理に第2巻の198ページまで進行できた。「錯乱」の章を経、現在、「プロとコントラ」という意味不明なタイトルの章に突入中である。
嗚呼、だけど、内容に言及する元気がわかない。軽い世相の話に切り替えるとしよう。

……そうそう、今日からタスポというカードを使わないと自動販売機でタバコが買えなくなってしまった。いろいろめんどくさかったので、当然、カードをつくってはいない。タバコは、これまであまり顔をあわせたことのない店主を介して買うことになった。並び立つ立派な自動販売機は、ただのタバコディスプレイもしくはタバコ貯蔵庫に見えてしまう。急に仕事が増えた店主はさぞかし大変だろう。
報道によると、現段階で、なかなかタスポの発行数が増えていないらしい。で、今後、カードをもつ利便性をアピールする意味で、夜間も自動販売機を使えるようにすることを検討中なんだとか。だれかは知らないが、バカなことを考えるものだ。
そもそも夜間にタバコ自動販売機が使えなくなるようにしたのは、未成年の喫煙という非行を防止するためだったんじゃないのか?
こんどは、タスポをもったオヤジ狩りという、新しい、より激しい非行がそこに加わるのがわからんのか?

聞けば、既にタスポ制度が導入済みの大阪では、自販機がだれでも使えるようにと、紐でつながれたタスポカードがぶら下げられている風景が密かに広がっているという。うん、こっちのほうが、なんぼか健全だ。
あ、そういえば、ここまでの『カラマーゾフの兄弟』では、タバコおよび喫煙の描写がなかったような気がする。人の顔の造作やファッション、部屋の様子、料理のメニューなど、なんでもかんでも微に入り細に入り描写するドストエフスキーにしては、めずらしい。不思議。なんでだろう?

思想的中核って、なんか懐かしい言葉のような。青スジ立ってますな、これは。 夜間も自動販売機を使えるようにすることを検討中、とはこれいかに。まさしくフジモトさんの書いているとおり、まったくバカげている。どっかから要請があったんでしょうねえ。

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