7月12日(土)~7月13日(日)
えー、サクサクいけてる。
10日ほど前とは天と地の差があるほどの順調&快適な読書進行具合である。
金曜と土曜日は、合計で3~4時間ほどしか読書時間がもてなかったものの、第3巻の最終章・第3部 第9編「予審」の総173ページをほぼノンストレスで読み切れた。かなり楽に、そして楽しんで読めたといっていい。告白すると、ビール片手のときさえあった。
思い返せば、やっぱり第2巻が最大の難関だったようだ。いまは、あの脳が煮えるような苦しい読書の時間を乗り切ったお陰で、くどくどしたドストエフスキー的言説に対応できるスキルを手に入れられた状態にあるように思われる。若年層にもわかるようにいうとすれば、よりパワーアップしたスーパーサイヤ人として復活した感じ。なにせ、ときどき、「小説のリアリティって、こういう風じゃないと、もしかして生まれないのかもな」などとドストエフスキーの力量を認め、讃える余裕すら生まれているのだから……。
これから挑む第4巻は5巻中では最も圧巻で674ページもあるわけだが、なんのなんのちっとも怖くはない。1箇月以内で全巻を読み切れるだろうという自信に満ちあふれている。というか、この日記を書きつづけるという約束の1箇月も経たずに、いけてしまうんではないだろうかと、逆に不安ですらある。そうなると、日記も早く終わってしまうことになるのだろうか。読み、甘い?
ということで、本日の読書感想であるが、それを語る前にちょっと一言。
物語が徐々にクライマックスにさしかかってきたことで、今後はストーリーへの言及がないと、この読書日記がつづかない状況になってきたように感じられてきた。なので、これからは物語の核心にもちょこちょこ触れていきたい。今後、素の状態で読もうと考えている人は、どうか、ところどころで目を伏せていただきたい。
えー、ということで、以下は物語の核心に係る感想となるわけだが、……ストーリーの根幹をなす事件の真犯人は、ドミートリーではなく、どうやらフョードルの落とし子である可能性が高いスメルジャコフ(スルメジャコフじゃないよ)であろう。ミステリー仕立てになっているとはいえ、ドストエフスキー、ところどころでそれを匂わせる記述を繰り返しているから、どうしてもそういう結論に達する。もしスメルジャコフじゃなかったら、それこそ逆にすごいミステリー小説ということになってしまう。どうだろうか、たぶん、それはないはずだ。
で、さらに、ここにきて気付いた重大な事実が一つある。それを、『カラ兄』の台詞風に叫んでおきたい。
「そうか、つまりは、『カラマーゾフの兄弟』というタイトルにある“兄弟”には、スメルジャコフも入っていたということになるのか!」。
ちょいと余裕がでてきたので、以下、普段の読書スタイルなんぞ紹介してみたい。
●最近は、昼間もちょこちょことヒマを見つけて読むようになっているが、まとめての読書は、だいたいが夜10時から午前1~2時ごろまでを当てるようにしている。そこから日記を書き、飲酒し、就寝するというスケジュール。明けるのが早い時季故、ほぼ毎日朝日を拝んでいることになる。
●主な読書の場所は、居間のソファー。これはあくまで偶然なのだが、ロシアの無限地獄人形マトリョーシカがプリントされているクッションを枕にして、仰向けになって読んでいる。身長181センチが棺桶に入ったようにすっぽりと納まる心地よい体勢。いままで三度ほど気を失い、昇天した。
●読書中は、テレビはもちろん音楽もかけない。無音のなかで、暗黒のドストエフスキー的世界に無理矢理浸っている状況。そんなときの救いはといえば、ときどき赤子が夜泣きをすることか。急いで紙おむつを替えにいき、スキンシップをはかり、人心地をつける。あの無意味な夜泣きこそは、黄泉からの帰還を促す叫びの如し。
さてさて、読書進行状況である。
本日も、今週末からつづいているサクサク度は変わらない。第4巻 第4部 第10編「少年たち」の章を、最後まで読み切った。都合143ページ。すばらしい!
だけど、と思う。こんな物語が差し迫ったところで、またしてもドストエフスキーは、どうでもいいと思われる逸話に筆を費やしてくれていた。自称社会主義者の13歳(本人は14歳と主張)の少年コーリャ・クラソートキンがでてきて、アリョーシャの前で、自意識過剰な会話をうるさく披露したりしているわけだが、この挿話に、いったいどんな意味があるのか、まったく理解不能。ま、一つだけ、この章において、地元のヤブ医者ゲルツェンシトゥーベに代わり、モスクワからの名医とされる居丈高な男が登場したことで、彼が癲癇で倒れているスメルジャコフの診察に係わることは容易に予測され、ドミートリーの嫌疑になんらかの影響を与える可能性はあるかな、とは思われたが。
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