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ベストブック10&新人賞へ
●吉田 では和田竜さん『のぼうの城』で。だれか文句ある?
●三浦 次書く予定あるの? この人。
●吉田 『忍びの国』(小学館)も出ているし、その次もいま、やってるし。
●豊崎 私、この和田竜って人はものすごく書いてく人だと思う。書き散らかすと思う。そしてなんか、スッカンスカンな文体になっていくんだと思う。
●杉江 スカンスカン(笑)。
●吉田 でも、こないだ聞いたら『忍びの国』の後はちょっと間が空くみたいだよ。
●豊崎 なんかなあー。この人脚本とかやった方がいいんじゃないかなあ。
●吉田 もともとね、脚本家なの。
●豊崎 やっぱりねー、描写とか、地の文が弱いなあって感じるもの。
●三浦 なんかノベライズっぽいですよね。
●豊崎 ただ、新人って考えれば、これからうまくなっていけよっていう、そういう励まし方もありますけどね。
●吉田 そうそう、歴史小説の書き手として久々にでてきた!
●末國 でも、オリジナリティが感じられないんですよね。作者と同じ史料を読めば、誰でも書けるというか。
●杉江 『のぼうの城』も、原型は司馬遼太郎なんですよね。新しいようで、書き方は司馬さんの戦国小説と同じですよ。
●末國 そうですね。少し前に同じ忍城の攻防戦を描いた風野真知雄さんの『水の城 いまだ落城せず』(祥伝社文庫)もあるし。
●藤田 じゃあさあ、中田永一にしようよ。
(会場 笑)
●末國 それはちょっと。
●杉江 中田永一はこれからも書くの? その名前で(笑)。担当編集者がいま、その版元にいないからなあ。
●藤田 ええ!? でも書くでしょ。
●豊崎 でも、××は前も伝奇小説みたいなのを別名で書いていたでしょう。そっちの筆名でも書きつづけるのかっていったら、続かなかった。中田永一も、なんとなく書きつづけなさそうな気がするんですけど。浮気性だよね。
●吉田 じゃ、『のぼうの城』でいいじゃん、ね。
●豊崎 『百瀬』って、これめちゃくちゃ売れてるんでしょ。
●藤田 消去法だ。
●杉江 『のぼう』の方が売れてますよ。
●末國 そんなに売れてるの?
●杉江 めちゃめちゃ売れてますよ。
●豊崎 ちなみに真藤さんは、賞金総額、いくらくらいもらってるのかな?
●杉江 えーっと、ダ・ヴィンチ文学賞が100万、日本ホラー小説大賞が500万、ポプラ社小説大賞特別賞が50万、電撃はいくらか知らないんですけれども。トータルで1,000万もいってないですよ。
●吉田 じゃあ『のぼうの城』でいいじゃん。
●三浦 だってこれ、20万部ですよ。
●吉田 真藤さんは賞金でカバーできるからいいじゃん。
●藤田 ええー、そういう金額の問題?
(会場 笑)
●杉江 でも、ここで新人賞あげても、お金をあげられるわけじゃないしね(笑)。
●藤田 じゃあ、『告白』にする?
(会場 爆笑)
●豊崎 急に、『告白』? 湊かなえに? いらねえってさ、湊かなえは(笑)。
●吉田 もう、いいじゃん。『のぼうの城』新人賞!
●豊崎 ジョー・ヒルにあげれば? 『20世紀の幽霊たち』(小学館文庫)にあげちゃえ!
●一同 えーー(笑)。
●杉江 ところで、『バートルビー』の作者は本邦初訳なんですか?
●豊崎 ビラ=マタスはベテランですから、だめ。
●杉江 そうか、これが日本での初訳だったらあげちゃったらいいんじゃないかと思ったんだけど(笑)。
●豊崎 第一、ベスト10の順位のなかに入っちゃってるんだから、だめでしょ。
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