祝・第141回直木賞受賞! 北村薫『鷺と雪』は、士族の令嬢・花村英子と文武に長けた女性運転手のベッキーさんが活躍する<ベッキーさん>シリーズの最終第三作目。昭和初期、大人への階段を昇りつつある英子の成長ぶりも楽しみな青春小説としての趣も楽しむためには、1作目の『街の灯』からお読みになることおすすめします。この設定でおわかりのように、女子大生と落語家のコンビによる<円紫さん>シリーズのファンには見逃せない、この<ベッキーさん>シリーズ。だだし二人のコンビの役割は<円紫さん>シリーズほどシンプルではなく、昭和初期の街の様子や風俗が綿密に描き込まれていることもあり、北村薫作品の瑞々しさは驚くほどそのままに、作品世界の陰影はいっそう深いものとなっています。
1作目『街の灯』、2作目『玻璃の天』、3作目『鷺と雪』…一気通貫でいきましょう。