「大貧乏者たちから、ある種の勇気や励ましをもらってほしい」
岡崎武志さんからのメッセージ
本や古本に関する著作を出してきた私としては、いささか異色な新刊となりました。ただし、人に取材したわけではなく、すべて本を資料としている点では「本の本」であることに変わりはありません。
「格差」や「貧困」という文字が、新聞雑誌で大きく扱われるようになり、派遣切り、ネット難民、ホームレス、生活保護家庭などの急増が社会問題となっています。「貧困」の時代と言えそうです。
そこで、過去に「貧」を味わい尽くした人たちを集めて、彼らはどんな暮らしをしていたのか、どんな気持ちで貧困を味わったのかを調べることにしました。これは材料にことかかない。詩人、小説家、画家などは、若き日にどん底生活を送った人が多い。資料や本を集めて、取り上げられた人はその一部にすぎない。
本を一冊書いたことでわかったのは、貧乏についての文章はいくらでも読める、ということだ。金持ちの話はすぐに食傷するが、貧乏話は飽きがこないんです。それは貧しさを自ら選んで意気軒昂としている人が多いことと、そんな自分を客観視することから生まれる諦念やユーモアが、日本文学の基調を成すからです。
貧乏を嘆き苦しむより、貧乏に浸って、その境地を楽しむ。そんなわけには実際問題、なかなかいかないよと言われそうですが、少なくとも、大貧乏者たちからある種の勇気や励ましをもらえることは確実だと思います。
他人の貧乏話ばかり暴露するのも気がひけるので、自分の若き日の貧乏な姿も「告白」というかたちで書いております。
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プロローグ 日本人は貧乏でも幸福に生きられる民族である
第1章 腐裕(フユウ)より貧格(ヒンカク)の人たち
ビッグだったが貧しかった。
貧しかったが輝いて生きた。
天本英世 金子光晴 稲垣足穂
第2章 愉快痛快! 有名人のマル貧秘話
赤瀬川原平 岸部四郎 群ようこ 西原理恵子 吉田拓郎 明石家さんま ほか
第3章 男もすなる貧乏を女もしてみんとて
吉永小百合 西加奈子 石坂啓 森茉莉
第4章 マル貧生活を生き抜く庶民の知恵
究極の貧乏レシピ 四畳半伝説 ほか
第5章 これだけ押さえればOK! 古今東西借金術
ドストエフスキー・石川啄木から竹中直人・原田宗典まで
第6章 貧乏をバネに遥かに高く
五木寛之 浅沼稲次郎 和田芳恵
「古本者の知恵を結集」
編集・岡崎武志さんからのメッセージ
「検定」ブームに乗っかって、その穴を突くかたちで、一冊の本ができあがりました。本気で「古本検定」の機構を作って、実施しようと思っているわけではない。あくまで「遊び」で、さまざまな問題に挑戦しながら、古本の楽しさ、知識を身につけてもらおうと、古本者の知恵を結集しました。
よく、こんな馬鹿馬鹿しい、あるいは面倒な問題を作ったものだなあ、とあきれながら、しかし随所では、そうだったのかと感心しながら読んでいただきたい。
「ドアを開いて古本の荒野へ」
(執筆者の1人)ライター・北條一浩さんからのメッセージ
『古本検定』を作るために、ある日みんなで合宿をしました。
よくぞ東京都内にこんな秘境のような旅館が!
そう思うような不思議なその旅館は小高い丘の上に在り、客室の床が少し傾いていたりして、ぼくらはいつもとは違う時間の中にすべり落ちて行きました。
そんな、忙しすぎるこの時代からスッと抜け出したような時間と空間の中から古本問題がポツポツと生まれ、取材や執筆や制作に数ヶ月の時間が経過して、この『古本検定』ができあがりました。
古本の猛者の方から見たら、ずいぶん甘いなと思う解答や、間違いもあるかと思います。そこはどうぞビシバシ、遠慮なくご指摘ください。
そしてこの本をきっかけに、今度の週末は神保町をまわってみようとか、この本を探してみようかな、とか、そんな気持ちが一つでも多く生まれたら、担当ライターとしてはそれがいちばんうれしいです。
ドアを開いて古本の荒野へ。
『古本検定』のページをめくって、ようこそ古本の泥沼へ!
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はじめに 岡崎武志
古本検定【初級】
そもそも古本って、何ですか? さて、まずは古本屋に行ってみよう。
古本四コマ劇場 喜国雅彦
インタビュー 穂村弘
「紙もの」と「ビジュアル」に惹かれる理由。
古本検定【中級】
古本にも、いろいろあります。古本屋にも、いろいろあります。
古本四コマ劇場 久住昌之
インタビュー 吉田豪
邪道系古本王、タレント本、格闘本を語る。
古本検定【上級】
古本は、愉しい。古本は、苦しい。
古本四コマ劇場 丸尾末広
インタビュー 鹿島茂
教授、パリの古本けもの道を往く。
古本クロスワード
場生松友子(古本海ねこ) 瀬戸雄史(古書往来座) 山本善行(古書善行堂) 解答
古本屋に行こう!
あとがき 岡崎武志
岡崎武志さんの本、10月の第1弾
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