2008年2月に亡くなったフランスの作家であり映画監督でもあるアラン・ロブ=グリエは、戦後のフランスに登場した前衛小説の一群であるヌーヴォー・ロマンの大御所だ。前衛というと、難しい、読みづらいといったイメージを抱いてしまい、一般的な読者は頁を捲ってみることもなく敬遠するということになってしまうが、アラン・ロブ=グリエの場合、そもそも前衛ではなくミステリとして捉えよう、というところから始めればよいのである。そうすると、風変わりな何でもありのミステリとして、新たな魅力が見えてくる。そんな視点を変えての読みをおすすめする、大城譲司さんによる『覗くひと』『迷路のなかで』『反復』の三書評。なるほど、と頷けるところがあるはず。だいぶ遅くなりましたが、年内ということでお許しください、アラン・ロブ=グリエを偲んでの特集です。