池澤夏樹個人編集による「世界文学全集」(河出書房新社)が、昨2007年11月から刊行がスタートした。20世紀から21世紀へ読み継ぐに相応しい新しくも素晴らしい作品が毎月発刊されるというこのシリーズは、快挙であると言わざるを得ない。何より、旧来の名作の枠組みに、もはやピンとくるものを感じていなかった本好きにとって、とてもタイムリーだ。読み応えのある海外作品に積極的な読者であれば、すでに何冊か読んでいて当たり前でもあろうが、そのラインナップを前にして、やはり心躍るものがあるはず。当然、Book Japanとしては、どうしても書評したくなってしまう。ただ、全集を1冊ずつではなく、もうちょっと欲張って、その周辺の作品もブックレビューしたい。そうすることによって、それらの作品の表現する世界がボリューム感と立体感を持ってグンと身近に迫ってくるからだ。
第1回はジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』。ディランつながり、というわけではないが、ジャック・ケルアックはボブ・ディラン、そしてポップカルチャーに決定的な影響をもたらした、アメリカの小説家だ。その実のところの絶大な影響を見ると、なるほど口切りは、ケルアックでなくてはならなかったのだな、と納得。『オン・ザ・ロード』って、そのロードムービーな感じも良いではないですか。今回は彼の伝記に、同じくビート世代の代表格としてウィリアム・バロウズ『裸のランチ』をプラス。このシリーズの書評担当は朱雀正道さん。月1回以上の進行で、はやく全集の刊行ペースに追いつかないとね。