かくも水深き不在
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著
竹本健治
新潮社
[小説]
[SF・ホラー]
国内
2012.07 版型:単行本 ISBN:4103324813
価格:1,680円(税込)
見られた者が鬼になる――。精神科医・天野不巳彦が遭遇した4つの怪しい物語。最初は子どものころの冒険だった。そのとき僕は鬼の眼を見たのだ。闇に咲く光。記憶の底に浮かぶ人影。忌まわしい事件の謎。それらは何を伝えようとしているのか。物語に引き寄せられる天野の、暗い淵を見つめるまなざしの行方は? 最後に解き明かされる真相もまた深い淵の二重写しに……存在の不安を呼び覚ます、鬼才の恐怖譚。
おすすめ本書評
- 四つの恐怖譚で描かれる茫漠たるミステリの美しさ
本書の帯には「恐怖譚」と謳われているものの、『かくも水深き不在』は紛うことなき傑作ミステリである。
恐怖を扱うホラー小説とミステリの境界線には、あいまいなところがある。もちろん多くの作品は、ホラー小説とミステリのどちらかに選り分けることができる。ただ、いくつかの作品はそのどちらにも分けられる場合がある。この『かくも水深き不在』こそ、まさにその例外に当たる作品なのだ。
蔓葉信博
2012/09/03掲載
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