エコー・メイカー
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著
リチャードパワーズ
新潮社
[小説]
海外
2012.09 版型:単行本 ISBN:4105058738
価格:4,200円(税込)
全米図書賞受賞、ピュリッツァー賞最終候補。天才パワーズの代表作、ついに邦訳。愛する人が、あなたを別人だと言い出したら――? 悲惨な交通事故でかろうじて一命を取りとめた男は、だが、最愛の家族を認める能力だけを失っていた。ピンチョン、デリーロを嗣ぐ天才作家が描く脳と世界の奇妙な相克、自己不信と愛の不可思議。そして、事故の真相が明かされたとき……変容するのは世界か? あなたか?
おすすめ本書評
- 『エコー・メイカー』リチャード・パワーズ
〈弟は私を必要としている〉。ある日の深夜、カリンは病院から弟のマークが事故に遭ったという連絡を受け、アイオワ州の自宅を出て、故郷のネブラスカ州カーニーへ急行する。マークはトラックを運転中に転倒させて重傷を負い、集中治療室に運ばれていた。特に脳の損傷が激しく、意識不明の状態が続く。それでも事故から二週間が経つ頃になると、徐々に意識は回復して、呼びかけにも反応し言葉を発するようにもなる。これで一安心かと思いきや、マークの脳には大きな問題が残っていた。自分の愛する人間を誤認する精神疾患、「カプグラ症候群」に罹っていたのだ。マークはカリンのことを、何かの陰謀によって差し向けられた、姉の偽物だという妄想を信じ込んでしまう。懸命の介護も報われず万策尽きたカリンは、高名な認知神経科学者ジェラルド・ウェーバーの存在を知り、助けを求めてメールを送るのだが―。
藤井勉
2012/10/31掲載
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