童話を読み聞かせするボランティアをしているが、話の中に引き込まれていく時の子ども達(ときには大人)の輝いた顔に触れたとき、こちらまでワクワクしてくる。読み聞かせで百パーセント大ウケなのが、この本だ。
幼い頃、おまじないののようなヘンテコな言葉を並べて、友達と喧嘩したり遊んだりした経験はないだろうか? ひとりぼっちのの退屈から、めちゃくちゃに叫んだり、歌ったりしたことはなかっただろうか?
私は、よくデタラメ語の呪文で魔法使いごっこをしたことを思い出す。
主人公かんたも、遊ぶ友達がいないから、しゃくに障ってでたらめの歌を大声で唄ってみる。
ちんぷく まんぷく
あっぺらこの きんぴらこ
じょんがら ぴこたこ
めっきらもっきら どおんどん
すると、どどーっと風が吹いてきて、木の根っこの穴に吸い込まれてしまう。着いたところは、変な三人組の妖怪の住む世界だった。
三人組の登場のページに、まず、あっと驚く。
「よっほーい、あそぼうぜ。おいら、もんもんびゃっこ」
「わーい、……あたい、しっかかもっかかだい」
「わしは、おたからまんちんともうす」
すぐに、三人の奇妙で可笑しいキャラクターの虜になるはずだ。そして、かんたと一緒に不思議の世界で遊びまくるだろう。
この絵を描いた画家は、作者同様、子ども時代思い切り遊んだ健全なガキだったにちがいない。絵とストーリーが混然一体。はちゃめちゃに遊ばせてくれる。ファンタジーからの出口も面白い。
とにかく、ページを開いてはまってほしい。大人の読者にとっては、疲労回復アンプル剤的な絵本になるだろう。この本で童心に返り、悪ガキ時代を思い出したりした後は、身も心もリフレッシュ。二日酔いになることもなく、明日への活力になるかもしれない。
ところで、主人公かんたは、あの歌をどうしても思い出せなくなって、もう妖怪達に会えなくなるが、これは、私たち大人への警告かもしれない。