池澤夏樹個人編集による「世界文学全集」(河出書房新社)を読むシリーズの第3回目。今回は東欧編だ。主役はミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』。そして、フランツ・カフカ『失踪者』、アゴタ・クリストフ『悪童日記』。
東と西、地続きの大国に挟まれ、波乱の歴史を刻んできた東欧からは、実にタフな小説家が生まれている。クンデラはチェコスロヴァキア~フランス、アゴタ・クリストフはハンガリー~スイスの亡命作家。今回紹介する作品の下敷きには、当然その抑圧されてきた体験がある(ちなみにアゴタ・クリストフは亡命してから作家になったので、自分は亡命作家ではない、と言っている)。
さらにカフカ。現代におけるもっとも重要な作家であり、その影響は計り知れない。今回はかつて『アメリカ』というタイトルで発表されていた、カフカの想像上のアメリカが舞台となっている作品『失踪者』を紹介する。カフカの不条理な世界はアメリカ大陸にまで及んでいたのですね。
プラハの春の終焉へのレクイエム『存在の耐えられない軽さ』。戦争疎開した双子の兄弟の驚愕すべき物語『悪童日記』、例によってマストだらけです。
書評・紹介は、朱雀正道さん。ボリュームたっぷりでお届けします。