いまイチバンのっている作家って誰? と訊かれたら、伊坂幸太郎じゃないのって答える人が多いのではないだろうか。なぜって、抜群のストーリーテラーぶりで、読者をグイグイ引っ張る作品を連発しているからです。実に周到に練られた展開の妙で、読者を1ページたりとも飽きさせません。面白くって、ちょっとせつなさもあって、実になんとも良い塩梅なのです。最新作は昨2007年11月刊行の『ゴールデンスランバー』ですが、そこで全体に張り巡らされている伏線の見事さといったらもう、読んだ人はみんな驚嘆すること間違いなし。伊坂幸太郎は1971年生まれ。この世代に近い人は必ず読むべし。きっと共感する何かを発見できるはずです。それと音楽を好きな人も必ず読んでください。伊坂幸太郎の音楽への愛情が発揮される表現に、ムフフとうれしくなってしまうはずです。『死神の精度』は、いまロードショー公開中。映画もいいけど、杉江松恋さんの書評を読んで、本も読んでね。