ボブ・ディランに関する本や映画のラッシュ状態が続いている。昨2007年はディランのデビュー45周年。ベストアルバム『DYLAN』の発売に前後して、関連書籍やDVDの発売が相次ぎ、今年のゴールデンウィークにはいよいよ待望の映画『アイム・ノット・ゼア』が日本でも公開となる。女優を含む6名の俳優がボブ・ディランを演じるというこの映画により、ディランに関する一連の熱は一気にまた急上昇するに違いない。ただし、その背景にあるのは、あくまでもボブ・ディラン自身の圧倒的な存在感だ。アーティストとしての最新作は2006年8月リリースの「モダン・タイムズ」だが、その素晴らしい作品が示しているように、ボブ・ディラン自身の充実が根底にあり、いまだ現在進行形のカリスマの魅力に取り憑かれた人間達が、ディランについて、あるいはディランを通してなにかを表現したくなってしまうのだ。書籍でいえば、関連本も多数あるが、まずは本人の作品「自伝」「詩集」こそが、ベストだ。書評は友部正人さんにお願いした。友部さんが、ボブ・ディランに触発されて、シンガーへの道に進んだということについては、ご存知の方も多いと思う。「自伝」「詩集」を書評するに当たって、ここまで相応しい人はそうはいない、と思ったわけである。
(付録:「ライク・ア・ローリング・ストーン」書評付)